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2014.07.10
カントリーリスク&経済レポート

格付け「A4 」にダウンしたブラジル経済、2015年は調整に向かう

Downgraded to A4, Brazilian economy gears towards a year of adjustments in 2015

ブラジルは、これまで経済が好調だったにもかかわらず、インフラの近代化と国内事業環境の改善に必要な改革に向けてこの好景気を活かしてこなかった。ブラジルでは市場の効率性が低いために、市場規模の大きさも宝の持ち腐れになっている。国内産業は利益率の圧迫に直面しているが、その原因は輸送・エネルギー関連コスト、人件費が高いことである。多くの部門において、輸入品との競争が企業にとって主要な課題となっている。

 

コファスの予想では、2014年のGDP成長率は相当に低下する(2013年の2.5%に対し2014年は1.3%)。これは、家計消費の伸びが鈍化し、投資の勢いが失われ、貿易収支が悪化するためである。コファスでは、2015年が転機になり、中期的にはGDPは大きく成長するとみている。

 

 

2014年:今後数ヶ月は商業活動の不振が続く

 

ブラジルのGDPは、2012年に0.9%というわずかな成長に終わったものの、2013年には2.5%とやや改善を見せた。経済活動を牽引したのは、主として、2012年のマイナス4%から前年比6.3%増となった投資の回復である。こうした改善にもかかわらず、ブラジル国内での投資水準は依然として非常に低く、2013年の時点でGDPのわずか18.4%に留まっている。

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 多年にわたりブラジルの経済成長の牽引役となってきたのは家計消費であり、この10年間、多くの場合はGDPを上回るペースで成長してきた。中流階級が台頭し、融資の利用が容易になったことがこうした展開に貢献したが、このモデルも限界に達したように思われる。金利・インフレ圧力が上昇する一方で、給与水準の上昇は非常に緩慢である。

 

2014年の特徴は、経済活動の低迷と高いインフレ率ということになるだろう。ワールドカップと大統領選挙のために、今年のブラジルでは企業の営業日数が少なくなるだろう。ワールドカップの恩恵が及ぶのは観光、外食、衣料品など特定のセグメントに限られる。また、ワールドカップ開催によりブラジルの輸送インフラには増大した利用者を吸収するだけの余裕がなかったため、試合日には多くの産業やサービスが活動を停止せざるをえなかった。

 

起業家は2014年第2四半期まで投資を先送りすると予想されており、2015年に投資の勢いが回復するかどうかはまだ何とも言えない。次期政権はインフレ率を適正な水準に戻すために価格抑制的な施策を用いる必要があるだろう。

 

コファスのラテンアメリカ地域担当エコノミスト、パトリシア・クローズ(Patricia Krause)は次のように語っている。「2014年のシナリオとしては、GDP成長率は減速し、せいぜい1.3%だろう。格付け機関各社は2014年初頭にすでにブラジルの評価を引き下げている。2014年3月にはコファスもブラジルの格付けをA3からA4に落とした。ブラジルについてリスク感が高まっている背景には、公的な経済指標の悪化、投資の不振、高いインフレ率、経済活動の勢いのなさがある

 

産業界は引き続き厳しい状況に直面する

 

  • 化学部門        競争力が欠けているため、引き続きリスク評価は高いままだろう。エネルギー税は上昇し、輸入天然ガスへの依存は中期的には回復しないと思われる。企業の信頼感が低く投資コストも増大しているため、投資は引き続き低迷するだろう。
  • 自動車部門       年初に厳しい局面を迎えた。増税、安全性に関する新規制、アルゼンチン市場での規制が業界に深刻な打撃を与えた。こうした情勢悪化にもかかわらず、コファスでは自動車部門のリスクは中程度と考えている。その理由として、業界の交渉力が強く、自動車部門の企業が納める税金が無視できないからである。活動の低迷を緩和するため、政府は短期的にインセンティブを導入すると予想される。
  • 農業部門        価格の安定と2013~14年度に収量がやや増加したことにより、2014年には、小幅の成長を確保すると予想される。これは、想定外の異常気象が発生せず、信用供給が上昇するという想定に基づいた「中程度」リスクのシナリオである。その一方で、金利上昇と港湾インフラの劣化は収益性にはマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
  • 鉄鋼部門        世界の多くの国々と同様、中国における生産水準しだいである。コファスでは2014年中は供給過剰が続くと予想しており、短期的には鉄鋼価格の上昇は観られないだろう。したがって、鉄鋼生産者の収益性は低水準に留まるだろう。
  • 小売部門        GDPを上回るペースで成長すると予想されるが、従来ほどのハイペースではない。実質賃金の成長鈍化とインフレ率の上昇も、このセグメントにとってはマイナスの影響を与えるだろう。テレビ、スマートフォン、タブレット機器など一部のセグメントは、2014年に他を上回る業績を上げるだろう。

 

2015年:転機は訪れるか

2015年については、GDP成長率は低く、インフレの加速は続くと予想されている。コファスでは調整の一年になると予想しており、抑制されていた管理価格が均衡水準を回復するだろう。これは短期的には経済活動にマイナスの作用を及ぼすが、中期的には、投資家の信頼感を増し、GDP成長の追い風となるはずである。 

 

 

 

 

[1] コファス・カントリーリスク評価は、短期的な商取引という背景において、ある国の企業が被る平均的な不払いリスクを測定するものである。これには政府債務は含まれない。評価を行うにあたって、コファスは当該国の経済、政治、金融の概況、コファスの把握する企業の支払状況、当該国のビジネス環境を総括する。

カントリーリスク及びビジネス環境評価は、A1、A2、A3、A4、B、C、Dの7段階評価だが、これに見通しの区分が付記される場合もある。

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