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2020.02.04
カントリーリスク&経済レポート

2020年、企業が直面する主な脅威は、政治リスクと環境リスク

2020年、企業が直面する主な脅威は、政治リスクと環境リスク

カントリー&セクターリスクに関するコファスハンドブックの2020年版を発行するにあたり、チーフエコノミストのJulien Marcilly氏は、パリにおけるコファスのカントリーリスク・コンファレンスで、2020年の世界経済の主な脅威について語る。

 

 

 

 

米中の貿易協定だけでは国際貿易をよみがえらせるには不十分だろう

2019年は保護貿易主義的な発言が増え(世界中で1,000以上の措置が取られた)、過去10年で初めて世界貿易が減少を示したが、2020年はわずか0.8%の成長となるとコファスは予想する。米中の貿易における停戦協定が、企業マインドを回復させたり、産業や世界貿易を大きく押し上げたりすることはないだろう。なぜなら、米中に影響を与えているのは、2017年から2019年の間に取られた保護貿易措置の23%に過ぎないからだ。保護貿易主義の高まりは、地球規模の持続的な傾向であり、企業はこれに適応する必要がある。

こうした貿易上の不確かさによって昨年0.75パーセントポイント縮小した世界の経済成長が今年回復することはないだろう。2019年の2.5%に続き、今年の成長は2.4%と予想される。今年予測が出される国の80%で、企業の破綻が増えるとコファスは予想する。企業破綻が増えると考えられる国には、米国(2020年は3%の増加)、英国(2016年6月の国民投票から累積で17%増加しているが、2020年は3%増加)、ドイツ(2%増加)、フランス(1%増加)が含まれる。全体として、2019年と同じく、全世界で破綻は2%増加するとコファスは予想する。

セクター別では、金属は苦境、建設は好調

環境保護主義に関係する不確かさも、商品価格、特に農作物、金属、石油の価格を不安定化させる要因である。コファスの予測モデルによると、鉄鋼価格は今後6か月下落を続け、同セクターの企業に不利に働くだろう。特に、世界の鉄鋼需要の半分を占める中国では、成長が今年は5.8%にとどまると予想される。したがって、金属セクターのリスク評価は、米国とイタリアを含む5か国で引き下げられた。さらに、地政学的な不確かさにも関わらず、石油価格が低水準を保っている(ブレント価格は平均で、2019年は1バレル64米ドルだったが、2020年は60米ドル)ことが、特に米国で、負債を抱える石油精製企業には痛手となるだろう。

明るい側面を見ると、建設セクターは金融緩和政策の恩恵を受けており、リスク評価はブラジルとトルコを含む4か国で引き上げられている。全体で、経済リスクが大きく高まっていることを反映し、コファスは今期、様々な地域において22セクターで評価を下げ、8セクターで評価を上げた。

2020年、企業は主に非経済的リスクに直面する

2019年末、レベルは異なるものの、社会的緊張の高まった「紛争地域」が世界中で増えた。こうした基調は、2019年初に公表したコファスの政治的リスク指標で強調されていたものであるが、これまでで最も強まっている。同指標は、アフリカ、中東、中央アジアの数か国、そしてロシアでも、2020年は社会的リスクが高いと予測している。

2019年以来、環境保護を求める社会的な不満が高まっている。環境リスクは、企業の信用に幅広く影響を与える。物理的なリスクの頻度が増えている(気候変動による自然災害の発生)だけでなく、移行リスク(より厳しい新規制や、消費者の基準の変化)も高まっている。後者については、インドの自動車セクターや海運業で導入されたより厳しい汚染防止規制の影響を、今年は監視する必要がある。コファスは、この2つの環境リスクの分析に細心の注意を払う。

 

新興経済国:ソブリン・リスクが再び注目される

新興経済国の成長は、今年、やや加速するだろう(2019年の3.5%に対して3.9%)。しかし、こうした国の公的債務は歴史的な高水準に達しており、中欧および東欧を除き、全ての地域で増加している。中南米では、債務の水準は、債務危機を繰り返した1990年代末の水準より高くなっている。アフリカでは、公的債務は、国際援助機関や二国間の援助機関による債権放棄が行われた15年前ほどの水準に近づいている。これらの地域の企業にとって、これは、政府や大規模な国有企業(SOE)の滞納が今年は増えるだろうということを意味する。唯一の良いニュースは、新興国の公的債務の構成は20年前よりも良好であるということだ。なぜなら、その80%が現地通貨建てとなっているからだ。

国々が向かい風に直面しているこの微妙で不安定な環境の中で、4か国の評価が引き下げられ(コロンビア、チリ、ブルキナファソ、ギニア)、6か国の評価が引き上げられた(トルコ、セネガル、マダガスカル、ネパール、モルディブ、パラグアイ)。

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