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2014.05.21
カントリーリスク&経済レポート

2013年、アジア太平洋地域における企業の支払遅延状況は安定

2013年、アジア太平洋地域における企業の支払遅延状況は安定
-      2014年も引き続き中国の成長減速が懸念要因に。  -

 

コファスが実施したアジア太平洋地域における信用リスク管理調査によれば、同地域における企業の支払状況は全般的に落ち着きを見せている。オーストラリア及び中国の企業は、不払いの増加に悩まされている。2014年も引き続き、中国の成長減速が同地域の他国にとっては懸念要因である。

 

企業の支払遅延状況は2013年に安定

 

調査によれば、約68%の企業が2013年に支払遅延状況に直面したと回答している(2012年は67%)。遅延日数はやや長くなる傾向を見せており、回答企業の14%は、平均支払い遅延日数が90日以上と報告しており、2012年に比べて1%の微増となっている。

 

コファスの経験によれば、長期の延滞未収金が売上高の2%以上となる企業は流動性の問題を抱える可能性があり、サプライヤーに対する不払いのリスクが高くなる。回答企業のうち、長期支払い遅延債権(つまり最低180日以上の延滞)が2013年の売上高の2%以上を占めたと回答した企業は30%に留まっており、2012年の37%に比べ改善の兆候が見られる。こうした結果からは、2013年にアジアにおける企業支払状況が安定したことを示している。

 

 

図1

 

 

 オーストラリア:中国からの需要減退で海外需要が低迷

 

オーストラリア経済に関しては、調査結果から見ると、より多くの回答企業において支払遅延状況が発生していることがわかる。回答企業の85%は支払遅延があったと報告しており、1年前に比べて、遅延期間も長くなる傾向が見られる。こうした見方は、オーストラリアの建設部門に見られる結果からも十分に裏付けられている。中国からの資源需要の減退(中国は総輸出の30%を占める最大の輸出先国である)、引き続き高い貯蓄率、投資意欲の不振により、今後のオーストラリア経済は明らかに課題を抱えている。

 

中国:いまだ改革途上

 

中国経済の成長は減速しており、2014年には前年比で7.2%とさらに低下すると予想される(2013年は7.7%、2014年第1四半期は7.4%)。しかし中国政府は、自国経済が成長トレンドからあまりにも大きく逸脱しないように、財政・金融政策を駆使している。最近発表された地方金融機関を対象とした預金準備率引き下げとクリーンエネルギー投資への支援策により、7%以上のGDP成長は実現するだろう。2013年については、回答企業の82%が支払延滞を報告している。企業の信用支払状況の悪化(特にエレクトロニクス部門)は引き続き大きな懸念事項であり、2014年も企業心理を圧迫するものと予想される。

 

香港:刺激策の不足が予想される

 

香港の経済活動は2014年も安定を維持するものと予想される。企業による全般的な支払状況は、支払状況調査に見るように、2013年に改善を示している。こうした傾向は繊維・衣料品産業でも裏付けられている。この部門は引き続き、米国及び一部の欧州諸国において大いに期待されていた景気回復に伴う海外需要の増大に支えられることになるはずだ。国内要因(消費及び投資)は安定するだろうが、ベース効果の高さと、中国における腐敗防止制度により中国人観光客による贅沢品消費が抑制されることから、積極的な成長は見込めない。

 

インド:経済環境の動揺は収まる

 

2013年のインド経済はルピー急落と執拗な高インフレにより大きな懸念の的となったが、最悪の時期は過ぎたようだ。支払状況調査に見られるように、インド国内の企業が実際に経験した2013年の企業支払状況は、1年前に比べてやや改善された。回答企業のうち支払延滞を経験した企業の比率は上昇したものの、支払状況調査によれば、IT、ISP、データ処理部門の企業に関しては支払状況が改善している。2014年に関しては、9回に分けて行われる総選挙が世界の注目を集めている。インド人民党(BJP)が圧勝し、企業寄り・市場重視の姿勢で知られる同党指導者のナレンドラ・モディ氏が次期首相となることで、一朝一夕に進むものではないにせよ、産業改革・社会改革に対する市場の期待が高まっている。ただし、インドにとって財政赤字の削減が課題であることは変わらない。

 

日本:アベノミクスの刺激は小売部門に恩恵

 

安倍晋三首相の日本経済再建計画は国内・国外の双方で好評を博している。恐らくこうした効果により、調査結果に表れているように、企業の支払状況は改善されている。報告されている支払延滞は、発生件数、期間、長期延滞の比率とも明らかに減少している。だが、アベノミクスの「第一の矢」「第二の矢」(財政刺激策、金融政策)はすでに放たれ、即効性が見られるだけに、「第三の矢」(構造改革)が待望されており、さらなる楽観論を生むために必要になってくるだろう。

 

先日実施された消費税増税(1997年以来、5%から8%へ)により、他の条件が同一であれば、インフレ率は2.86%押し上げられる。このような増税により1997年のような状況が繰り返されるのではないかという懸念は見られるが、景気浮揚的な財政・金融政策、家計消費の上昇、2020年のオリンピック開催を考えれば、そのような最悪のシナリオは考えにくい。FMCG(日用消費財)部門は、絶対基準でも相対基準でも支払状況が良好であり、下流部門の顧客(つまり小売部門)の成長から利益を得られるだろう」とロッキー・タン(コファス、アジア太平洋地域担当エコノミスト)は話している。

 

シンガポール:観光、雇用、グローバル経済の回復が後押し

 

シンガポール経済については、2014年にはさまざまな要因により成長率の上昇が見られるものと予想されている。好調な観光に支えられた消費の増大、先進諸国市場における海外需要の回復、住宅市場の安定、製造業の活力向上が経済成長を差せるだろう。こうした改善のもとで、シンガポール企業にとっての支払状況は2014年に改善されることが期待される。なお2013年の状況は2012年と概ね変わらなかった。

 

台湾:外需主導の成長も、エレクトロニクス部門にリスク

 

2014年、台湾経済は好調な観光と先進諸国市場における海外需要の回復に支えられ穏やかな成長を見せるものと予想されている。すべての部門で賃金の改善状況が芳しくないため、消費を中心として国内需要の不振は続くだろう。支払状況調査に見られるように、2013年には台湾企業のあいだで支払い遅延事例は減少しているものの、遅延期間は1年前に比べて長くなっており、年間売上高に占める長期支払い遅延の比率が2%を超えると回答する企業も増えている。

 

台湾のエレクトロニクス部門は今後、特に中期的に、経済全体と比較して、より厳しいプレッシャーに直面する可能性がある。企業が自らのポジショニングを明確にすることが不可欠になっている。中国がバリューチェーンの上流に移行しつつあるなかで、より強いプレッシャーがかかってくる。人件費の点では中国に比べて絶対的に不利であり、2009年以来見られたように、台湾がエレクトロニクス部門のなかでも製造部門を推進していくことは考えにくい。さらに、より付加価値の高い下流プロセス(たとえばポストセールス・サービスなど)に関しては、市場との近接性が必要になることが一般的であり、台湾企業は、人口が相当に大きい中国、日本、韓国の同業他社に太刀打ちできないだろう」とロッキー・タンは話している。

 

 

2014年の展望:中国の成長減速への懸念がこの地域を覆っている

 

図2

 

俯瞰的に見ると、アジアの経済成長の勢いは危機以降の時期にも依然として強く、コファスの予想では2014年の成長率は6.1%である。こうした勢いは、一つには、二大新興市場である中国とインドの過去10年間の経済繁栄の余禄である。だが、この二国の成長予測は、長期的な成長トレンドに比べて顕著に低くなっている(2000~2011年に、中国は平均10.6%、インドは平均7.8%)。

 

米国・欧州市場を中心とする先進諸国の景気回復(2013年の1.2%に対し、2014年の予想では1.9%)は、香港、台湾、シンガポールと行った輸出志向の経済にとってはプラスになるだろう。しかし、中国経済の成長は2014年には7.2%まで減速すると予想されており、中国における需要に依存してきたアジア諸国の多くに影響を与えかねない。

今回の調査は2013年第4四半期に実施され、オーストラリア、中国、香港、インド、日本、シンガポール、台湾のあらゆる規模・産業の企業2373社から回答を得た。この調査はアジア太平洋地域の企業における支払状況、支払動向、信用リスク管理の実践に関して広範な理解を得ることを目的としたものである。

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